つよ○フクちゃん+

ネタはなくとも毎日更新

昔の作文(明朝のポルトガル対スペインがおもしろい試合になるよう祈念)



メインPCに不調の兆し。 大切なものは楽天ポイントで作ったサブ1PCにバックアップしていますが、それほどでもないのも早めにバックアップしていた方がよさそう。 てな訳で作業を始めましたが、すぐに20年前書いた作文が出てきて中断。 おもしろいのでUPしてみます。 最初のスペイン旅行中に存在を知りながら食べることができなかった麺に対する執念の物語です。


メンパエ 

 生まれつきかどうかはよくわからないのだが麺類が好きだ。人より多くの麺をすすってきた。少なくともそれが肥満の原因のひとつであることは確かだろうと思う。そんなボクがある写真家のエッセイで出会い、4年間想い焦がれた麺がある。その麺の名はフィデワ。パエリャ鍋のなかで黄金色に輝く麺。その焦げた部分のなんと旨そうなことか。
「おお、まさにこれは麺のパエリャ。メンパエじゃ。」  この麺、正式には「FIDEUA GANDIENSE」といい、スペインのバレンシア地方ガンディアという町の名物料理だという。おもに地中海に面したカタルーニャ地方からバレンシア地方で食されているとのこと。もう行くしかない。ヨメさんに今年は厄年だからとか、死んでも死にきれんとか言いつづけ、カタルーニャ地方のバルセロナ行きチケットをゲット。
 バルセロナへは大晦日に入った。テレビはどのチャンネルもこの国の0Km地点(日本では東京日本橋)にあたる首都マドリッドの「太陽の門」を映している。スペインでは真夜中の時報に合わせて葡萄の実を12粒飲み込むのが新年を迎える習慣らしい。家で帰りを待っている老犬ポケの長寿を祈りながら、途中ブリュッセルの空港で買ったベルギーワッフルを砕いて葡萄の代わりに飲み込む。同時に街中に花火が上がり人々の歓声が沸き起こった。
 新年は小雨で始まった。昼過ぎ、激しくなった雨を避けるため駆け込んだレスタウランテの入り口に掲げられたメニューにフィデワの文字。注文をとりにきたカマレロにフィデワと一言いったとたん体中の力が抜けていくのがわかる。憧れのフィデワは3センチほどの長さの細いパスタをパエリャ鍋のなかで魚介やら肉やら野菜やらのスープで炊き、サフランで黄金色に染めた麺で、上には芝エビが飾られている。サッパリしていて味わいは豊か。これは主食ではない副食なのだ。パンとワインがどんどんすすむ。特にパエリャ鍋にはりついた焦げたところの旨さたるや最高。さらに凄いのは付け合わせのニンニク入りマヨネーズのアリオリソースだ。こいつをからめて食べるとどうなるのかはもったいないので言わない。
 店を出ると雨も上がり遠くにサクラダ・ファミリアの鐘楼が見えた。スペイン人は1日に5回の食事をするという。ガウディを始めピカソ、ミロ、ダリ みんな大食いだったにちがいない。スペイン語の朝食 Desayuno は「断食あけ」というぐらいだから。